HARROW
HARROW(Netherlands/蘭)
#960 / CALL OF THE UNBORN / 1996
★★★★★
好きだったけど今は無きバンドの2ndフルです。生々しい激しさが最大の売りでしょうか。ヴォーカルとギターがド迫力だよね。ヴォーカルはRAVENみたいなハイテンションで声質はブライアン・ジョンソン的な絶叫系。トータルするとLIVING DEATHあたりが近いかな。常に高回転で頑張るツースト時代のジムニーの如し(笑) 普通声の男前ヴォイスもあり。驚くなかれ、ギタリストはエイドリアン・ヴァンデンバーグのローディーだったそうですよ。このアルバムはスラッシュメタルの如き(ギターのザクザク感やベースのゴリゴリ感やツーバス)アグレッシブな作品なのでVANDENBERGのような音楽ではありませんが、出自がそういうわけだから独特の雰囲気があるんだね。ハードロックのカバーがハマっているのはそのせいでしょう。今回は2曲。お世話になった先輩に敬意を表したVANDENBERGの“Back on My Feet”と永遠のハードロックアンセムであるRIOTの”Road Racin’“だよ。アコースティック弦楽器を使った感動的なインストや8割方アコギとヴォーカルでまとめた曲もあり飽きさせません。全体的な感想としてはANNIHILATORやRAGEに通じるものがあるかなと。つまり個人的な大好物というか理想形なんだけどね。最近のANGRAなんかもそれに近い。それにしてもだ、理想とする究極形を示してくれそうなバンドがイギリスやアメリカじゃなく、ドイツやカナダやオランダやブラジルって…何故だ!?
#1459 / EMBRACE THE WORLD / 1999
★★★★
音質が変わってギターが迫力不足(前作のザクザク感がない)なのが残念ですが、総じてよくできております。コンセプトアルバムという新たな領域に足を踏み入れた勇気を買いましょう。ナレーションというかモノローグというか語りの部分があり、SEで曲間を埋めたり一生懸命に雰囲気を醸そうと努力している。リードパートで管楽器まで使ってるし。ラストをインストで締めくくってるのも余韻を残すという意味では効果的だ。ただし日本盤はボートラのライブ音源が続くので微妙かも。前作のオープニングは“Road Racin’”に似たリフで始まって、そのまんまカバーも収録されてましたが、今回も懲りずにそれ風のフレーズがあって、どんだけ好きなんだよと(笑) USパワーメタルがお手本になってるんだね。ちなみに日本盤ボートラで前作のイチオシ曲“Trains of Death”のライブバージョンが聴けるのが嬉しい。ライブに於いてもザクザク(ギター)・ゴリゴリ(ベース)しているのが確認できます。コンセプト作という観点からは邪魔な3曲(VICIOUS RUMORSのカバーを含む)でしょうが…やっぱお得感はあるよね。
#1966 / THE RISING PHOENIX / 1998
★★★★
93年にリリースされたデビューEPに、主にカバー曲のボートラを追加して、日本でのみリリースされたコンプリート・エディション(SPECIAL EDITION)なる代物です。新曲は「CALL OF THE UNBORN」のアウトテイク。#4に印象的なギターのフレーズあり。聴きどころは…総じて激しめの仕上がりを見せるカバー曲。曲間がカットされたメドレー形式はアニメタル・マラソンの如し。MSG以外はNWOBHM期のバンドってのがいいじゃない。まずはTYTANの”Blindmen and Fools”。これは微妙。次はIRON MAIDENの”Wrathchild”。ディアノ時代の曲だからシンガーの声質が合ってる。本家との違いは、ベースじゃなくギターが曲を引っ張ってるところ。そして、何故今さら?DEEP PURPLEの”Space Truckin’”ですが、キーボーレスでよくやる気になったなと。続くMSGの”Armed and Ready”はヘヴィな仕上がり。しっかりHARROW風味になっている。最後はTYGERS OF PAN TANGの”Youthanasia”で、ぶっちゃけ原曲に馴染みが無いんだけれど良かった。とりあえずシンガーがいいね。音量デカめのギターもタイプです。
#2046 / THE PYLON OF INSANITY / 1994
★★★★
EP「RISING PHOENIX」に続くデビュー・フルアルバムです。ツインギター体制で、良くも悪くもギター主体の楽曲には好感が持てる。スラッシュメタルみたいなザクザクしたリフが気持ちいいけれど、スラッシュメタル・バンドではないです。基本的にはミッドテンポが多く、スピードチューンは#3の”Catstrike”くらい…コレ猫が人間を攻撃する歌詞らしいけど(笑) シンガーはスクリームを駆使するストロングスタイルで、2本のギターに負けてない。聴きどころはあれど何か物足りなさを感じる1枚、しかしながらB級の中ではトップレベルだと思う。最後はアコギで始まるインストで締めくくられる。いい雰囲気のエンディングだけに、同様の短縮版をオープニングにも配置するとかね、全体的にもうちょいインパクトがあるといい。ジャケが画力不足のマンガみたいでダサい。ギタリストが書いているライナーノートによると、VANDENBERGのスタッフとして働いてたんだって。エイドリアンのプレイを間近に感じて自身のバンド結成に至ったと。結成は85年と結構古く、VANDENBERGの要素は…そのつもりで聴けば、ギターソロでちょびっとだけ感じられるような…。 レスポールではないね。